鳥越観音について

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 鳥越観音のある鳥越山は、二戸市にある男神岩・女神岩と隣接しており、国の名勝指定も受けている紅葉の景勝地です。『もみじ交遊舎』という名称についても、この美しい紅葉からとられています。

  鳥越観音堂はその鳥越山の中腹の、切り立った崖の岩屋に作られており、自然の岩穴を壁や天井に利用したお堂です。
  鳥越観音は、大同2年(807)慈覚大師が開基したという伝説を持つ古寺ですが、中世では糖部三十三所観音巡礼の3番札所、近世では29番札所として知られています。糖部三十三所観音巡礼は、岩手県北から青森県東部をめぐる観音巡礼で、永正9年(1512)の観光上人の札打ちがそのはじまりといわれています。観光上人の巡礼納札のうち3番札所として鳥越観音に残っていたのが、この巡礼納札です。
  札は鳥越観音の他には、青森県南部町の長谷寺観音(33番)、同じ南部町の隅の観音(6番)、七戸町の見町観音(3番)の3枚しかなく、岩手県内では唯一のものとなっています。以上の4枚のほかに順番を確認しているのは、浄法寺町御山の桂清水観音(1番)、二戸市の朝日観音(4番)だけであり、以上の6ヶ所が観光上人の糖部三十三所観音巡礼の札所として知られています。
200年後八戸天聖寺住職の守西上人が階上町寺下観音をはじまりとし、天台寺を詣り納めの33番とした新たな巡礼をはじめますが、その時鳥越観音は29番札所となります。観光上人のこの札には、

「岩屋寺へ 可起分のぼり見おろせば 松のあらしも のりの声かと」

という御詠歌が朱書きされており、白い装束に身をつつんだ巡礼者の歌声が中世の鳥越観音にひびきわたっていたことでしょう。